J1 Waiverの労働条件について③

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しばらくにわたってのJ1 Waiverの契約についての話もこの記事で一区切りにしようと思っています。この記事ではMalpractice Insurance(訴訟保険)、Non-compete provision(非競合規定)それからビザのサポートのことについて説明していきます。

Malpractice Insurance(訴訟保険)

これは日本だと個人で購入することが多いと思うのですが、米国ではemployerから提供されることが多く、内容について契約する時に確認しておく必要があります。Malpractice insuranceは大きく分けてOccurrence malpractice insuranceとClaims-made malpractice insuranceに分かれます。簡単に言うと、Claim-made malpractice insuranceの場合は、訴訟につながる出来事が起こった時に保険に入っていても、実際に訴訟を起こされた時に保険に入っていなかった場合はカバーされません。日本の多くの訴訟保険はClaim-made malpractice insuranceなのではないかと思います。自分が持っていた保険もそうでした。実際、自分も日本の離れて2年経過していますが、未だに日本の訴訟保険は継続して毎年5万円程度の保険料を払い続けています。このようなClaim-made malpractice insuranceの場合は、そのプラクティスを離れる時に、後日訴訟された時に備えてTail Coverageを別途購入しないといけません。自分の知り合いは、勤務先を変更した際に、1万ドルでTail Coverageを別途購入したと言っていました。一方で、Occurence malpractice insuranceの場合は、たとえ数年後に自分がその勤務先を離れた後に訴訟されたとしても、しっかりとカバーされるので安心であると言えます。そのEmployerがどのような訴訟保険を提供してくれるのか、ということは契約書にサインする前にしっかりと確認する必要があると思います。

Non-compete provision(非競合規定)

これは簡単にいうと、自分がその場所での勤務をやめて、他の場所に移る場合、ある一定期間の間は、自分が働いていた場所から決められた距離の中で働くことができない、と言うものです。これは単純に患者が医師の移動と共に流出することを防ぐためです。特に家庭医の場合はある程度の患者のパネルがあるので、医師の移動に伴いごっそり患者を一緒に持って行かれてしまってはたまったものではありません。この規定は特に、自分がその地域で長く働こうと思っている場合には問題になるかもしれません。

ビザのサポート内容について

J1 Waiverの3年間の間はH1bビザに切り替えることになります。そして、H1bビザで3年間働くとそこで初めて、グリーンカードにアプライする権利が得られることになります。ここで大切なことはJ1 Waiverで働く3年間のH1bビザのサポートとその後のグリーンカードの申請について全く別の話になるということです。EmployerによってはH1bビザの申請はサポートするけれども、その後のグリーンカードの申請についてはサポートしない、というところがあるかもしれません。また、ビザの申請にかかる費用の負担についてもEmployerと確認しておくことが望ましいと思います。自分の経験ではH1bビザの家族を対象としたH2ビザについては、ほとんどのEmployerが費用の負担はしないと言っていました。

まだまだ細かいことはたくさんあるのですが、この3つの記事に書かれていることが理解できていれば、契約の話を聞いた時に大きく混乱することもないと思います。非常にニーズの狭い話ではあるのですが、誰かの役に立てば、と思っています。

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