患者からの連絡を負担に思う

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米国の家庭医療研修の中でも多くの研修医が負担に感じるのが、患者からの電話やメールでの医学的な質問や処方リクエストへの対応です。日本とは異なり、米国では実際に受診しなくても、前回の受診に関連した内容や、既に治療中の病態であれば、電話やメールでの相談が可能です。この代表的なものが薬のRefilです。普段飲んでいる薬が亡くなったから処方してくれ、というリクエストです。こういったリクエストや質問がある度にそれが電子カルテ内にあるInboxに記録されるので、空いた時間を見つけて、これらの質問やリクエストに対応しないといけないのですが、これが非常にプレッシャーで、Overwhelmingです。とても忙しいレジデンシーのトレーニングの中で、診療の合間や、帰宅してから、早朝などに処理しなければならず、常に何かに追われているような気持ちになることが多いです。

Refilについては、高血圧に対してアムロジピンだけ飲んでいるという患者なら、ほぼ盲目的に処方ボタンをクリックしてしまえばいいので、簡単なのですが、複雑な背景を持つ患者だと、患者からのリクエストが間違っているかもしれないので、最終処方日や用量など、カルテを遡って確認しなければなりません。また、しばらく受診が途絶えている患者には処方する日数を絞り、実際の受診を促す連絡をしなければいけません。また、こちらでは日本と比べて受診の頻度が非常に少ないので、特に先輩から引き継いだ患者などは一度も顔を見たことがないのに、継続で処方し続けないといけない場合などもあります。こういった場合には特にミスがないように念入りにカルテをチェックする必要があるので時間を要します。

その他にも、妊娠が発覚したのだけどどうすればいいのか、コロナが陽性になったのだけどどうすればいいか、血便が出たのだけどどうすればいいかなどの医学的な質問や、学校や保険のためのフォームを埋めて欲しい、など非常に多くの質問やリクエストもあります。また、クリニックで行った血液検査や性感染症の検査結果が返ってきた場合は、その都度患者に電話やメールで結果を知らせる必要があります。日本では受診の頻度が多かったので、大きな異常がない限りは次回受診した時に結果を説明します、で成り立っていたのですが、米国では問題がない限りは1年に1回しかクリニックに来ない人も多いので、その都度、結果を連絡する必要があります。

このinboxへの対応が、2年目になり急激に忙しくなりました。一年目は診る患者の数が知れていたからよかったのですが、2年目になると1年目の2倍の患者を診療するようになり、その結果、実施する結果の説明やRefilのリクエスト、質問を受ける回数なども比例して増えたからです。また、同期が忙しいローテーションを回っている最中などは、互いにカバーし合うのですが、場合によっては1日に20件近い連絡を受けることがあり、この処理だけで1時間近くかかってしまうこともあります。繰り返しですが、このInboxへの対応に多くの時間を使うことは精神衛生上よくないので、なんとかテンプレートなどを使って効率良く対応できるように日々考えています。同期によっては検査結果の説明を全て郵送のレターで行っていると言う強者もいました。電話だと出てくれなかった場合に時間をロスするし、メールも一定期間読まれなかった場合はアラートが来て、結局はレターを送らなければいけない場合が多いので、それだったら初めからレターを送るのが無駄がなくて効率が良いと考えているようです。一理あるのかもしれません。

レジデンシートレーニングは学ぶことの連絡です。常に試行錯誤しています。

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