渡米後3ヶ月の英語力

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渡米から3ヶ月が経過しました。渡米した直後に3ヶ月くらいしたら、だいぶ英語も聞こえるし、変わってくると思うよーという話を聞いていたのですが、自分の中ではそこまで成長が感じられないこともあり、非常に焦ります。英語でのコミュニケーションは少しずつは向上しているとは思うのですが、思い描いていた理想のレベルには到底達していません。毎日手を抜かずに全力で生きている自信はあるのだけど、果たしてその頑張り方があっているのかどうかということは、一度立ち止まって、深呼吸をして考える必要があるのではないかと感じていました。

そんな折に、自分の英語についていくつか厳しい指摘をいただく機会がありました。厳しい評価を頂いた時は非常に落ち込みましたが、今振り返ると、このような機会があったことは自分のレジデント生活にとって、非常に良かったのではないかと思っています。今回の一件のおかげで、スケジュールが変更になり、ある程度時間をとってこれまでのレジデントとしての生活や自分の勉強方法を振り返ることができました。そうでなければ、毎日忙しく、短い睡眠時間を過ごし、このような振り返りの時間を持つことはできなかったはずです。

また、これも非常に幸運なのですが、英語力向上のために、自分が所属するプログラムからのサポートも得て、プロのスピーチパソロジストからレッスンを受ける機会を得ることができました。これまでも英会話のレッスンは何回も受けたことはありますが、このように英語を母語としない人を対象とするプロのネイティブ講師から授業を受けるのは初めての経験です。自分がレジデンシーで成功するために色んなサポートをしてくれるプログラムには本当に感謝の気持ちしかありません。と同時に、この機会を最大限に活かして、なんとか周囲を見返してやろうと決意を新たにしています。この記事では、現時点での自分なりの『自分の英語力の振り返り』をしてみたいと思います。

現状の認識

リスニングについて

もともとTOEFLではリスニングはほぼ満点が取れるレベルなのですが、それでもネイティブ間の会話の理解は非常に厳しいです。渡米後少しは耳が慣れて語彙も増えてマシにはなっていると思うのですが、現在でも自信はありません。自分にある程度バックグランドの知識がある医学的な会話であれば、ほとんどの会話を理解することができます。しかしながら、まだ米国での治療の流れや、薬やオーダーの種類や名前、コンサルトの閾値、退院のタイミングなど予想できないことも多く、知らない単語が出てきたり、自分が予期できないアセスメントが出てくる場合には、理解が難しいこともあります。

学習面では、忙しい日々の中でドラマのリスニングをサボっていました。意味が分からなくてメモを取った単語をどんどんAnkiの単語帳にぶち込んでいたのですが、なかなか復習に時間を割けず、新しい単語が未復習でどんどん溜まっています。また、会話の中で知らない単語に出会うことも多いのですが、以前と比較して、分からなかった単語をメモして後で意味を確認する作業を行う回数は明らかに減ってきています。これはおそらく自分が、知らないことに対して鈍感になってしまっているのではないかと思います。日常生活の中で、その単語の意味が分からなくても、ほとんどの場合なんとかなる(スルーできてしまう)ことを経験してしまったが故に、本当なら突き詰めて解決した方がいいところも、おざなりにしてしまっているのではないかと感じています。

プレゼンテーションについて

症例のプレゼンテーションについては、ある程度決まりきった症例(例えば、胸痛のワークアップ、TIA疑いの経過観察で待機的MRI実施)であれば、比較的スムーズに説明できることも増えてきたように思います。しかしながら、微妙なニュアンスを伝える場合や、逆に向こうから予期せぬ依頼(追加の検査など)を受けた場合にはまだ戸惑ってしまうことも多いです。また、ある程度自分の言い方が決まってしまっており、なかなか表現の幅が増えていかないということも感じています。本来であれば、録音して復習したいくらいなのですが、患者情報はConfidentialなので、なかなか録音して聞き直すという訳にもいかず、非常に悩ましいです。人のプレゼンテーションを聴きながら、使えそうな言い回しがあれば、紙にメモをしてもっとどんどん盗んでいかなければいけないと感じています。

患者や家族への病状説明について

患者への説明は、普段の会話やプレゼンテーションとはまた全く違う能力が必要になると感じていて、多分これが一番難しいです。特に小児科のローテーションで経験した親への病状説明は非常に大変でした。過度に心配はさせてはいけないけど、適切に病状は伝えて、今後の治療プランと見込みを伝えるプレゼンテーションが必要となります。これを詰まらずに英語で説明しきるにはかなりの語彙力が必要だし、適切な言い回しを知っておく必要があります。『伝わればいい英会話』の一段階上のレベルが求められます。本当に悔しいのですが、自分の英語力がこのタスクを十分にこなすには力不足であるというのは事実でした。実際に引導を渡された後の、ホームの診療所外来のプリセプティングでも、プレゼンテーションの最中に単語や時制、代名詞を間違えながら何度も詰まってしまったのですが、ただ伝わればいい英会話でさえ常にうまくいく訳ではない現状で、このタスクが以下に自分にとっても厳しいものであるか再認識し、非常に落ち込みました。

電話でのリスニングについて

これが今の所、業務の中で一番の恐怖です。特に専門医の先生との電話では、向こうもかなりのスピードで、息継ぎ少なくまとめて話してくることが多いです。医学的な内容についてはまだまだ頭の中で、英語を日本語に理解してから理解していることもあるからだと思うのですが、まとまった時間相手話され続けられると、情報処理能力をオーバーするように感じる時があります。患者の治療方針に関わることも多いので、分からなければ話を止めて、ダブルチェックをしたり、本当に重要な話だと思う場合には直接電話をシニアに渡してしまう時もあります。渡米直後と比較すると改善がみられているとは思いますが、やはり自分のネックであることには変わりません。

以上のように、渡米後3ヶ月経過しますが、自分の英語はまだまだ改善が必要なことは明らかです。悔しい気持ちはありますが、しっかりと現状を受け入れ、改善していくしか生き延びる道はありません。一方で、スピーチパソロジストとのレッスンの中で、ある程度はできていると褒めてもらえた部分もありました。また、自分がどのような勉強をしていくことが今の自分にとって、一番効率的で意味があるのか、プロの視点でアドバイスがもらえたことは非常に貴重な経験でした。次の記事では、スピーチパソロジストからの評価のこと、プロの視点からの今後の勉強へのアドバイスについて記載したいと思います。

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